【ブックレビュー】『「がんばっているのに、うまくいかない」と凹んだときに読む本』から読みとる、成果に結びつくがんばり方とは。

 「がんばっているのに、結果につながらず、さらなる努力をしてもうまくいかない、どうしたらよいかわからない」と凹んだ経験はないでしょうか。もしくは現在、そのような状況に直面している方もいらっしゃるかもしれません。

 そのようなお悩みを持つ方におすすめしたい本が『「がんばっているのに、うまくいかない」と凹んだときに読む本』(森川陽太郎著・朝日新聞出版)です。


 本書では、元アスリートのメンタルトレーナー森川陽太郎氏が「がんばっていること」をうまく目標や夢、結果や幸せに結びつけるための「心の整え方」を伝授しています。

 私は最近この本を知りました。読後、真っ先に感じたのが「この本にもっと早く出会いたかった!」ということ。
 というのは私自身、「がんばっているのに、うまくいかない」ともがいた経験が何度もあったからです。

 一体どのようにすれば「がんばっているのに、うまくいかない」状態から抜け出せるのか、本書にはすぐに実践できる多くのヒントがちりばめられていました。

まずは自分の感情を知ることから

 森川氏は、「がんばっているのにうまくいかない人」と「うまくいく人」の違いとして「自分の感情を大事にしているかどうか」を挙げています。

 前者は感情を押し殺し「こうあるべき」「こうしなきゃ」という「思考」に沿って頑張ろうとする人。しかし不自然に感情を変えるのは難しく、負担になり疲れてしまいます。一方で後者は、自分の感情を素直に認め感情とうまく付き合いながら行動するので、結果、心身への負担が少なくなります。

 筆者は、「うまくいかない人」に対し「頑張るのをやめて立ち止まり、自分の中に湧き上がる感情と向き合うこと」「感情を思考で否定せずに大事にすること」「感情と行動を分けること」の3つを実行することを勧めています。

心を整えるために必要な4つの感情との向き合い方

 いざ「自分の感情と向き合って」と言われても、実際に何をすれば良いのか戸惑う方も多いのではないでしょうか。筆者は主に「恥ずかしい」「楽しい」「悔しい」「緊張」の4つの感情と向き合い、どう行動していくかが重要と考えます。

 私が特に印象に残ったのは、「恥ずかしい」という感情です。過去に試験での面接、仕事でのプレゼンテーション、趣味の楽器演奏の発表など、事前にできる限りの準備をしたにもかかわらず、本番では緊張。言葉が詰まって頭が真っ白になったり、手足がガクガク震えてやっとの思いで一曲弾き終える、といった苦い経験があったからです。発表の時はいつも、緊張でいっぱいでした。

 筆者は、「緊張は当たり前の感情であり、ガクガク震えるといった体の反応もあるのでコントロールが難しい」と述べています。その上で「緊張したまま行動する」ことを勧めています。つまり、緊張していても実力が発揮できるようになればいいと。 

 けれども緊張で手いっぱいで、行動まで考えが及ばないこともあるかもしれません。そのような時は100%を目指さず、「最低限ここまでできればOK」というその日の合格ラインを決めます。すると、100%を目指すよりは緊張感は和らぐので、こうした小さい緊張を積み重ねながら自信をつけていけるのです。

 そのことを知り、「緊張を取り除こうとするのではなく、あるものとして受け入れた上で事前の準備をすればいい」という気づきがありました。そして、本番にガクガク震えたり言葉が詰まったとしても、伝えるべきことは伝えようと前向きに捉えられました。

 「緊張」以外の感情の向き合い方についても、本書には詳しく掲載されているので、それぞれの感情に沿った付き合い方のヒントが得られると思います。

「6つの習慣」を身に付けて、自分の感情とうまく付き合う

 4つの感情との付き合い方について述べられた後は、本当の自分の感情を知ることについて書かれています。
本当の自分の感情を知り、うまくつきあっていくために習慣にしたい6つのことが紹介されています。

  • 「感情日記」をつける
  • 感情に⚪や×の評価をつけずに、マイナスの感情も大切にする
  • 自分へ「インタビューごっこ」をする
  • 口癖の裏にある感情を観察する
  • 「愛着はあるけれど、もう必要ないもの」を捨てる
  • 自分の「幸せ」を考える時間を持つ

 なぜ、本当の自分の感情を知る必要があるのか。それは、そもそも私たちは自分の感情を把握できていないことが多々あるから。例えばネガティブな感情を押し殺すなど、本当の自分の感情に蓋をしてしまうこともあるのではないでしょうか。 

 「今の自分の幸せ」がわかっていないと、何をしたらよいか戸惑ってしまい、間違った方向にがんばってしまう可能性もあり得ます。正直な自分の感情を知る習慣をつけることで、がんばる方向性が見えてくると筆者は言います。

 ここで挙げられた6つの習慣は、今日からでも取り入れられるものばかり!日ごろから自分の気持ちに向き合うことで、がんばりを結果に繋げることができると思うと、俄然やる気になります。


 私は、感情日記をつけることからスタート。初めて数日ですが、自分の中の心の声に耳を傾けるようになりました。

まとめ

 本書で紹介されている方法は、がんばっているのに、うまくいかずに停滞している時でも気軽に取り組めそうなものばかりだと感じました。

 4つの感情についてのワークに対し、一度に取りかかるのが難しいときは、取り組みやすい感情から1つずつ向き合っていくことを筆者は提案しています。

 さらに4つの感情は互いに関係しあっており、いずれか1つとうまく付き合えるようになると、自然ともう片方の感情とも付き合えるようになるという相乗効果も。

 「恥ずかしい」と「緊張」のように同時に感じたり、「楽しい」と「悔しい」のように相反するものであったりと、みなさんにも覚えがあるのではないでしょうか。

 また、6つの習慣を取り入れることで「自分の幸せとは何か」を知ることで、取り組み方やがんばる方向性が的を得たものとなり、結果も変わることも期待されます。

 「がんばっているのに、うまくいかない」という悩みの解決策は、その人それぞれのアプローチがあると思います。本書はそのためのヒントがいっぱいで、読んだその日から実践できるアドバイスがぎっしり詰まっています。


 きっとご自身に合ったアドバイスを見つけられるはず。ぜひ、ご一読を。

※参考・引用文献

『「がんばっているのに、うまくいかない」と凹んだときに読む本』

 森川陽太郎 著/朝日新聞出版 2015年1月出版

 
 

 

2 COMMENTS

kyoko miyazaki

自分の感情との向き合い方や、幸せの方向に進めることなど、とても本の内容が分かりやすく書かれていて、この本を買って読んでみたいと思いました。すぐに実行できるアドバイスが載っているのも魅力ですね。

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すずき・ちえ

kyoko miyazakiさん
「この本を買って読んでみたい」とは、嬉しすぎる感想です。
記事を書いた「ねらい」通りになり、励みになっています!

私自身も今までは、がんばっているのにうまくいかない時は空回りしがちでしたが、この本のおかげで物事への向き合い方が変わりそうな気がしています。
ご感想どうもありがとうございました!

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