こんにちは。ライターのすずき・ちえです。
ここ数年、郷土料理に惹かれ、地元・宮城の郷土料理を作ってみたり、旅先で食べに行ったりしています。
郷土料理の魅力は、その土地の歴史や風習、食材などが一皿にギュッと詰まっているところだと感じます。
今回のテーマは、福島県会津地方の郷土料理「こづゆ」です。
「こづゆ」との出会いは、9月に会津若松市で宿泊したホテルの夕食でした。実は、会津地方出身の知人のおすすめ郷土料理でもあったので、食べる前から楽しみにしていました。
ホタテとシイタケの深みのある出汁が絶品
「こづゆ」は、浅めの赤塗りの椀ににんじん、まめぶ、いんげん、糸こんにゃくなどの具材が入った汁物です。
初めに醤油味の汁を飲むと、ホタテとシイタケの出汁による深みのある味わいが広がります。続いてさらににんじんなどの食材を食べると、それらがもつ甘みなどが出汁によって引き出されているのを感じました。
全体的に優しい味わいで、お腹にするすると入っていきます。気が付くとお椀一杯分を食べきっていました。おかわりができれば、間違いなくお願いしていたでしょう。
お祝いの席で食べられてきた郷土料理
では、「こづゆ」はどのような郷土料理でどのようなシーンで食べられてきたのでしょうか。
農林水産省webサイト「うちの郷土料理」 によると、「こづゆ」は、400年以上の歴史を誇る漆器・会津塗のなかでも浅めに作られた「天塩皿」にホタテの貝柱などの出汁で煮込んだきくらげ、わらび、里芋などを盛り付けた郷土料理です。
具材は海の幸と山の幸がバランス良く入っているのが特徴ですが、切り方や材料、味付けは各家庭で異なるそうです。
冠婚葬祭、なかでも婚礼時には欠かせない一品で、宴会の最中に鮭の肴として楽しまれていたのだとか。何杯でもおかわりしてよいとされ、来客をもてなす際に出されていたそうです。
そしてなぜ「こづゆ」という名前なのかというと、「こじゅう(小重)のつゆ」(小さな器で出されたつゆ)が訛ったといわれています。
今回初めて「こづゆ」をいただき、貝柱とシイタケという海と山の幸が溶け合った出汁と、食材本来の味を味わい、満足感でいっぱいに。そして各家庭の味を食べ比べしてみたいと感じました。
こづゆは会津若松市内の飲食店でも提供されており、お土産用としてレトルトとして販売されています。会津若松周辺に行かれた際には、ぜひ味わっていただきたい、おすすめの郷土料理です。
【参考】
農林水産省 うちの郷土料理