こんにちは。東北・仙台在住ライターのすずき・ちえです。
今回は宮城県の鳴子温泉のグルメをご紹介します。
雪の降る寒い冬に食べたら最高だった、「なる子ちゃんこ鍋」
鳴子温泉は、宮城県の北西部の山あいにある温泉地です。
温泉番付で東の横綱に選ばれたこともあるくらいの名湯で、昔から農閑期に多くの湯治客や、観光客を迎え入れてきました。
2022年12月末に鳴子温泉に1泊したところ、夕食に「冬のなる子ちゃんこ鍋」というメニューが出てきました。
あの大相撲宮城野部屋直伝だというちゃんこ鍋には、醤油仕立てのスープにあんこう、きのこ、葛切り、豚肉、鶏だんご、油揚げ、せり、笹ねぎ、白菜、豆腐といった様々な旬の食材がたっぷり入っていました。
一口食べたとたん、「温かくて美味しい…なんだかホッとする味…」と思いました。
というのは……様々な素材の味が溶けあった醬油ベースの味が美味しかったことはもちろん、その日の気候もあります。
山間部に位置する鳴子温泉は、宮城県内でも雪が多く気温も低い土地。その日も、日中は風に乗ってきた雪が舞い、夜にかけて積もっていくような寒い日でした。
夕方、チェックインしたばかりだったので身体は冷えていました。
が、温かい醤油ベースのスープに、色々な具材が入った「なる子ちゃんこ鍋」を食べているうちにだんだん元気が出てきたのです!
そして「なぜ、鳴子温泉でちゃんこ鍋を出しているのか?」が興味が湧き、リサーチしてみました。
もともと相撲と縁が深い鳴子温泉。東日本大震災後、宮城野部屋の慰問交流がきっかけに。
鳴子は九州の明鳥、東京の浅草と並ぶ「日本三大草相撲の地」と言われています。
鳴子温泉にある温泉神社には、1189年に源頼朝の平家征討戦勝祈願の礼として相撲奉納した記録が残されています。
また、名力士も鳴子の土俵で相撲をとるなど、お相撲と縁が深い土地柄でありました。
このような土地柄の鳴子温泉に、「なる子ちゃんこ鍋」が誕生したのは東日本大震災(以下 震災)後のこと。
震災直後、鳴子温泉のホテルや旅館では、沿岸部で被災した人たちを受け入れていました。
そこへ大相撲宮城野部屋のご一行が慰問交流にやってきました。そのご縁を機に、宮城野親方より「宮城野部屋直伝のちゃんこを食べて観光客の心を温めてはどうか」という提案があったそうです。
そうして生まれたのが、鳴子ちゃんこ鍋でした。
ベースは同じだけど、各ホテルや旅館オリジナルの鍋を楽しめる!
鳴子ちゃんこ鍋は、宮城野部屋直伝の認定証がある、飲食店や宿泊施設でいただくことができます。
その数は25箇所にのぼるのだそう(大崎市HPより)
それぞれに工夫がこらされており、入っている具材も店によって違い、どぶろく入りのものもあるという話も聞いたことがあります。
まだまだ寒さが続くこの時期にはうってつけの鍋。
温泉にゆっくり入って、「なる子ちゃんこ鍋」でご当地グルメを堪能、なんていう冬の過ごし方はいかがでしょうか。