【東北ゆかりの本】『ぼくんちの震災日記』〜未来に伝えたい一冊!仙台市内で東日本震災に遭った家族の、震災から4日間の物語

 こんにちは。宮城県在住ライターのすずき・ちえです。

 2024年3月11日で東日本大震災から13年になります。仙台市内で震災を経験した私は、3月になると、何かにすがりついていないと飛ばされそうなぐらいの大きな揺れの恐ろしさや、直後のライフラインがなくなった暮らしを思い出します。

 また、巨大津波で沿岸部の祖父の家が流されたことを知ったときの喪失感や、原発事故の報道で心が痛んだことなども。2011年3月11日は私にとって忘れることができない日です。

 ただ年数が経つにつれ、だんだんと震災の記憶が薄れていることも実感しており、特に震災直後の暮らしについて、思い出せないことも数多くあります。

 その証拠に、2021年と2022年に最大震度5強から6強の大きな地震が発生した時は、突然のことにオロオロする始末。東日本大震災の経験が活かせていないということを痛感し、ショックを受けました。

 3月11日を前に、自分自身も災害時にとる行動を知って備えることと、体験を伝えていくことが大切だと感じています。そんなタイミングで出会ったのが、『ぼくんちの震災日記』というタイトルの児童書でした。著者は、仙台市在住の児童文学作家・佐々木ひとみさんです。

表紙の温かみのあるイラストにも心惹かれました。

本書を知ったのは先日、仙台市内で行われたイベントでの佐々木さんのお話でした。
その際に「自らも震災を体験し、伝えていかなければという想いで書きました」と紹介されていたのが『ぼくんちの震災日記』。佐々木さんの想いに思わず共感した私は、イベント終了後、すぐに読ませていただきました。

小学4年生の男の子が家族と体験した、震災から4日間の物語

 物語の主人公は、仙台に住む小学4年生の杜野友樹。両親と中学1年生の姉の4人で暮らしています。

 2011年3月11日、友樹とお母さんは自宅マンションで大きな揺れにおそわれます。すぐに2人は中学校へお姉ちゃんを迎えに行き、お父さんも会社から何とか無事に帰宅。

 家族は全員無事、マンションも片付ければ住み続けられる状態でしたが、電気・ガス・水道は止まり、ラジオからは沿岸部の大津波の被害を知らせる報道がひっきりなしに流れます。友樹は「本当のこととは思えず、夢のような出来事のよう」な気持ちに。

 震災の翌朝、お父さんとお母さんは子どもたちに「今日からわが家は『がんばろう週間』に入ります」と話し、困難な中で「さらに生きていくためには、これからしばらくの間、いろいろなことをクリアしていかなければならない」と生き延びるためにできることをやっていこうと呼びかけます。

 そこから生きのびるための杜野家の奮闘が始まりました。お父さんは沿岸部の勤務先へ向かい、友樹たちは水や食料を得るために長い列に並びお母さんを助けます。その中でお隣さんはじめ近所の人たちとの助け合いや、子どもたちの不安が溢れる場面などが細やかに描かれています。

ぜひ大人にも読んでほしい!未来に伝えたい一冊

 私も友樹たちのように、震災直後は内陸部の住宅地にいました。なので彼らと同じように近所の人たちと情報交換をして給水や食料調達に並んだこと、日ごろよく飲んでいたコーヒーを飲みたくなったこと、そして当時、無意識に抑えていた感情など様々なことがよみがえってきました。

 けれども、つらかったこととして思い出したのではなく、「忘れないようにしたい」という前向きな気持ちでした。それは時間の経過もありますが、何よりも、優しく温かい言葉で書かれていたからだと思います。

 そして、子どもだけではなく大人にもおすすめの本と感じました。物語は友樹の視点で描かれていますが、合間に勤務先での体験を書いた「お父さんのメモ」、巻末には「お母さんの「あってよかった」メモ」という災害時に役立つ知恵が記されています。子どもと大人それぞれの視点で非常事態の暮らしがリアルに描かれている上、役に立つ情報もたっぷり詰まっている一冊なのです。

   『ぼくんちの震災日記』との出会いで、今後 大きな災害に遭ったとしても前を向いて進んでいける勇気が湧いてきました。全国で毎年のように大きな災害がある中で、「多くの人に読んでもらいたい、未来に伝えていきたい作品」だと思いました!

■『ぼくんちの震災日記』
ハイブリッド型総合書店 honto より

https://honto.jp/netstore/pd-book_32243072.html

著者 佐々木ひとみさんwebサイト

http://www.za.em-net.ne.jp/~pon/kogen/

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